執筆者:BLISS LASH 編集長
協力:秋山 真生恵
アイリストのスタッフ教育で、
悩むオーナーは多いと思います。
そして、アイリストの教育が難しい理由の1つに、
「できない理由がスタッフによって違う」ということがあります。
新人には新人のつまずきがあり、
3年目前後のスタッフには3年目前後の課題があり
経験が長い中途スタッフには、また別の難しさがあります。
同じように指導しているつもりでも、
相手の経験年数や今いる段階によって、
伝わり方も受け取り方も変わります。
今回は、
スタッフの経験年数ごとに起こりやすい課題と
オーナーや教育者がどのように関わっていくべきかについて整理します。
新人・未経験スタッフは
「何が正解か」がわからない
新人や未経験スタッフの場合、
まず大きな課題になるのは、
「何もかもわからない」ということです。
技術ができない以前に、
- 何が正解なのか
- どこまでできれば入客していいのか
- 何を基準に判断すればいいのか
がわかりません。
教える側からすると、
「これは当たり前」と思っていることでも、
新人にとっては当たり前ではないことが多くあります。
教える側が
- 「これくらいはわかるだろう」
- 「普通はこう考えるだろう」
と思っている部分に、実は大きなズレがあるのです。
そのため、新人教育では技術だけでなく、
まず基準を合わせることが重要になります。
- 何が良い仕上がりなのか
- どの状態なら問題なのか
- どこまでできれば入客していいのか
こうした基準を、言葉にして伝える必要があります。
新人教育では「見える化」が重要
新人スタッフは、
わからないことやできないことが多いため、
感覚だけで教えると成長が遅くなりやすいです。
そこで重要になるのが、
チェックリストやテストによる見える化です。
- 技術チェックリスト
- カウンセリングチェックリスト
- 知識テスト
などを用意することで、
今どこまでできていて、何が足りないのかが明確になります。
教育する側にとっても、
- 「なんとなく不安」
- 「まだ入客は早そう」
という感覚ではなく、
具体的な項目をもとに判断しやすくなります。
新人教育で大切なのは、
本人の努力だけに任せることではありません。
必要な基準を明確にし、
足りない部分を一緒に確認し、
入客までの道筋を見える形にしてあげることです。
新人が伸びない原因は、本人のやる気だけではなく
教える側の基準が曖昧なことにもあります。
3年目前後のスタッフは
「自己流」と「慣れ」が課題になる
3年目前後になると、
技術はある程度できるようになってきます。
一通りの施術ができ、入客にも慣れ、
お客様対応にも自信が出てくる時期です。
ただ、この時期に起こりやすいのが、
自己流になってしまうことです。
最初は教わった通りにやっていたことも、
経験を重ねる中で少しずつ自分のやり方に変わっていきます。
もちろん、
経験によって自分なりの工夫が生まれること自体は悪いことではありません。
ただし、
基準から外れた自己流になってしまうと、
仕上がりや接客にムラが出やすくなります。
また、慣れによって緊張感が薄れ、
施術や接客が雑になってしまうこともあります。
新人の頃にはなかったミスやクレームが、
3年目前後になって出てくることもあります。
技術が上がってきたからこそ、
逆に基本を見直す必要がある時期です。
3年目前後は
「接客力」と「人柄」で差が出る
3年目前後になると、技術力だけでなく、
接客力や人柄の差が売上に出やすくなります。
同じように技術ができても、
- お客様への対応
- カウンセリング
- 気配り
- 言葉の選び方
- 人柄
によって、リピート率や指名数に差が出てきます。
この時期のスタッフは、
技術ができる分、自分の問題に気づきにくいこともあります。
ミスやクレームがあっても、
- 「お客様との相性が悪かった」
- 「たまたまそうなった」
と考えてしまい、自分の改善点として受け止めにくい場合もあります。
そのため、オーナーや教育者は、
技術だけを見るのではなく、
- リピート率
- 指名数
- クレーム
- 接客の質
なども含めて見ていく必要があります。
特に、リピート率が下がっているスタッフや、
なかなか指名が増えないスタッフには、
早めに原因を確認して指導していくことが大切です。
そのためにも、
- 「どの数字を下回ったら面談するのか」
- 「どの状態になったら指導を入れるのか」
という基準を、ざっくりでもいいので
決めておくと対応しやすくなります。
モチベーションの差も出てくる
3年目前後になると、
スタッフによってモチベーションの差も出てきます。
もっと上を目指したい人もいれば、
今の働き方を維持したい人もいます。
店長や教育者など、
上のポジションが見えることで
やる気が出る人もいれば、
役職にはあまり興味がない人もいます。
ここは人によってかなり違います。
そのため、全員に同じ目標を求めるのではなく、
1on1などを通じて、
その人が何にやりがいを感じるのかを確認していく必要があります。
- 売上を伸ばしたいのか
- 技術を深めたいのか
- 働きやすさを重視したいのか
- 後輩育成に興味があるのか
本人の価値観を確認しながら、
その人に合った関わり方をしていくことが大切です。
ただし、自由に任せるだけではなく、
サロンとして必要な基準は伝える必要があります。
本人の希望に合わせることと、
サロンの基準を守ることは分けて考えるべきです。
経験が長い中途スタッフは
「過去のやり方」が壁になることがある
経験が長いスタッフ、
特に中途で入社したスタッフの場合、
新人とは違った難しさがあります。
すでに技術や接客の経験があるため、
一見すると即戦力に見えます。
ただ、過去に働いていたサロンの
やり方や考え方が強く残っている場合、
新しいサロンの基準を受け入れにくいことがあります。
- 技術のやり方
- カウンセリングの考え方
- お客様への対応
- 仕上がりの基準
- サロンワークの進め方
こうした部分が、
以前のサロンと今のサロンで違うことは珍しくありません。
そのときに、
- 「前のサロンではこうでした」
- 「私はこのやり方でやってきました」
という意識が強いと、修正が難しくなることがあります。
経験年数が長いほど、
技術や接客のクセが固まっていることもあります。
だからこそ、経験者であっても、
サロンの考え方や基準は最初にしっかり伝える必要があります。
経験者採用では
「教わる姿勢」が重要
経験が長いスタッフを採用する場合、
技術力や売上経験だけで判断すると
ミスマッチが起こることがあります。
もちろん、経験があることは強みです。
ただし、サロンに入ったあとに大切なのは、
今のサロンの考え方を理解しようとする姿勢です。
実際に、経験者を採用する際には、
- 「学びたい」
- 「技術や接客を見直したい」
- 「このサロンで成長したい」
という姿勢があるかどうかが重要になります。
逆に、
「店長クラス募集」「高待遇」などを求人で前面に出しすぎると、
学ぶ姿勢よりも、条件やポジションを重視する人が来ることもあります。
また、経験者だから教えなくていい、
というわけではありません。
経験者であっても、
チェックテストや面談を行い、
その人に合わせて必要な指導をしていくことが大切です。
年数が長いから特別扱いするのではなく、
サロンの基準に合っているかを確認する必要があります。
歴が長いスタッフには
「ここにいる意味」が必要になる
経験が長くなると、
スタッフは自分でできることが増えていきます。
- 技術も接客もできる
- お客様もついている
- 場合によっては独立も考えられる
そうなると、
このサロンに残る理由が必要になります。
ただの働く場所になってしまっていると、
「ここにいる意味がない」と感じたときに離れやすくなります。
特に、経験が長いスタッフほど、
- オーナーや上司への尊敬
- 学べる環境
が重要になります。
- このサロンにいることで成長できる
- このオーナーから学べることがある
- この環境だから自分の価値が高まる
そう感じられなければ、
経験者ほど離職や独立につながりやすくなります。
そのため、オーナー側も、
技術や接客だけでなく、
- サロンとしての考え方
- 方針
- 将来性
などを示していく必要があります。
店長・教育者は「技術がある人」が
向いているとは限らない
スタッフが増えてくると、
店長や教育者を置く必要が出てきます。
ただし、ここで注意したいのは、
売上が高い人や技術がある人が、
必ずしも教育者に向いているとは限らないということです。
技術者として優秀でも、
人に教えることが得意とは限りません。
自分の当たり前を相手にも求めてしまい、
- 「普通はこうする」
- 「これくらいわかるでしょ」
という伝え方になってしまうこともあります。
しかし、その普通は、
新人や後輩にとっては普通ではありません。
教育者に必要なのは、
自分ができることではなく、
相手がどこでつまずいているかを見て、
必要な言葉に変えて伝える力です。
技術力と教育力は別物です。
店長や教育者には
「選ぶ基準」と「降ろす基準」も必要
店長や教育者を選ぶときは、
- 「売上が高いから」
- 「頑張っているから」
だけで決めるのは危険です。
もちろん、売上が低い人を店長にするのは難しい面があります。
現場からの説得力も必要です。
ただ、それだけでは不十分です。
- 人に教えられるか
- 自分の感覚を押しつけないか
- サロン全体を見られるか
- オーナーの方針を理解して動けるか
こうした部分も見ていく必要があります。
また、任せてみた結果、
向いていない場合もあります。
そのため、
最初から完璧な人を選ぼうとするのではなく、
任せる基準と、難しいと判断したときに
役割を見直す基準を持っておくことが大切です。
これはサロン側にとっても、
本人にとっても必要なことです。
向いていない役割を続けることは、
本人の負担にもなり、周りのスタッフにも影響します。
スタッフ教育は「年数」ではなく「今の課題」を見る
今回はわかりやすいように
経験年数で例を出しましたが、
スタッフ教育は経験年数だけで判断しないことが大切です。
見るべきなのは、
そのスタッフが今どの段階にいて、
何に困っているのかです。
何もわからない人には、
基準を教える必要があります。
慣れてきた人には、
自己流や慣れを見直す必要があります。
店長や教育者には、
自分ではなくサロン全体を見る視点が必要です。
スタッフの伸び悩みは、
本人のやる気だけで片づけられるものではありません。
オーナーや教育者が、
相手の段階に合わせて関わり方を変えられるかどうか。
そこが、スタッフの成長にも、サロン全体の安定にもつながります。
